レスポンシブデザインへの疑問

現在ではWebを閲覧するデバイスとしてスマートフォンが大きな割合を占めるようになり、それにともない、Webサイトのレスポンシブデザインが普及、定着してきています。
レスポンシブデザインとは、ユーザの閲覧環境(おもにブラウザのウィンドウサイズ)に応じて、見やすいように動的にレイアウトを行えるようにしたデザインのことで、これを実現するためのCSSやJavaScriptの機能を使ったライブラリ類が多く提供されています。
Googleがこれを強力に推奨しており、レスポンシブ対応していないサイトはGoogleの検索結果に「モバイルフレンドリーではない」と記載されるようになっています。
そのため、Web制作の側でもこれには(仮に嫌でも)対応せざるを得ない状況です。

しかし以前から私は個人的にこれがしっくりこないというか、漠然と不満というか、違和感のようなものをずっと持っていました。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、当サイト「Kats Factory」もレスポンシブ対応はしていません。
世の中に同じような人は他にいないのだろうか、と思って検索してみると、やっぱりそれなりにいらっしゃるようです。

「スマホサイト(レスポンシブ)って嫌いです。。。」 http://toriumi.jugem.cc/?eid=2578
「レスポンシブデザインが嫌い 」 https://anond.hatelabo.jp/20170131094004

「レスポンシブデザインって本当に使える?レスポンシブを避けるべき3つの理由」 http://www.selva-i.co.jp/blog/archives/281

理由はそれぞれいろいろ違いはありますし、その中には私が共感できるものとそうでもないものとありますが、やはりそれぞれに一定の不満や疑問というのはあるようです。

私の場合はどうかなと、改めて考えてみたので、それを整理して以下に書いてみようと思います。

まずWebページの「デザイン」とは、そもそも何なのか?というところから話を始めたいと思います。
デザインには必ず「意図」や「意味」があります。
この項目Aが項目Bより上にあるのはなぜか、この項目のグループが縦ではなく横に並んでいるのはなぜか、このテキストのフォントがこのサイズなのはなぜか、この入力欄Aの幅が入力欄Bより大きいのはなぜか、そういったレイアウトの要素ひとつひとつに必ずデザイン上の意味があるわけです。
これらを変更することは、そのデザインの意図や意味から外れることになります。
いっぽうで、ブラウザのサイズというのは、端末側の仕様の都合にすぎません。横幅1000pxを前提にしたデザインを、横幅200pxの端末で見ようが500pxの端末で見ようが、それはデザインとは関係のない、ユーザ側の一方的な都合です。
その都合に合わせてデザイン上の意図を無視したレイアウトの変更をするべきなのか、と考えると、それは必要ないのでは?というふうに思えるのです。
ユーザの利便性を図るためだ、ということなのでしょうが、それはWebデザインをする側が配慮することではなく、端末やブラウザアプリを作る側が配慮するべきことなのではないでしょうか?

たとえば、テレビを考えてみてください。世の中には60インチの大画面テレビもあれば、14インチの小さいテレビ、はたまたスマホのワンセグ・フルセグで見ている人もいます。そういった視聴環境の違いに配慮して、大型テレビ用と小型テレビ用で異なる画面構成の番組を放送するべきでしょうか?あるいは実際に放送しているでしょうか?
みなさんご存知の通り、実際にそんな放送はしていません。放送される映像は、視聴者の画面サイズに関係なく一定です。
つまりそういうことなのです。
Webページも、閲覧環境の大きさごとにレイアウトやデザインを変更する必要があるというのは、考え方として変ではないかと思うのです。
ユーザの利便性のため、小さい画面でも見やすくしたい、ということであれば、それはブラウザアプリにそういう機能なり工夫を入れるべきであって、Webサイト側(コンテンツ提供側)にそれを求めるのは筋が違う気がするのです。
それに、そもそもPCのブラウザで閲覧するときでも、ブラウザのウィンドウサイズは可変なわけですから、ウィンドウサイズが小さいから端末が小さい、と一律に判定するのもおかしいわけです。
これは実際に経験のある方も多いかと思いますが、PCで閲覧しているときに、ブラウザのウィンドウを小さくリサイズすると、勝手にスマートフォン用のレイアウトに切り替わってしまったりしますよね。あれはレスポンシブデザインの副作用としてあまり望ましくないように思います。

私自身の考えはそんな感じですね。

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